宇都宮の恋人
原題はスプートニクの恋人
村上春樹の作品の中では割りかし読みやすい方だと思います。
このコラム、村上春樹わかんないとつまんないから村上春樹読んでね。
他の作家さんでもやってみたいな。
森見登美彦とか。
僕がその時その部屋でその時に目が覚めたのは本当に偶然で、まだそれほど仲良くなったわけではない友人達と一晩を共にすることに疲れていたのだろうと、朦朧とした頭の中で考えた。
そもそも大学生とは無闇に夜という時間を共有したがる。しかし、この持論を持ち出せばきっと夜は明けてしまうから今はやめておこう。
僕が目を覚めた時には、電気は消えていてただひっそりと話し声が聞こえるくらいだった。
話をしているのは生越で、彼はだいたいいつも喋っている。あいた口がふさがらないのだ。これは比喩や揶揄ではなく、彼は本当にふさがらないのだ。顎関節症を患っている
しかしながら、学生ホールの中でもテスト前には彼のうめき声は判断できるようになった。
「それで、泉は最後に女の子と寝たのはいつ?」
ぶしつけな質問だが、いかにも大学生のような質問である
「そんなこと覚えていて意味はあるかい?そもそもそれを聞いて君はどーするんだ?明日のおかずにするのかい?」
「悪趣味だな」
僕はポツリという。
間違いないねと笑いながら生越は手を叩いいた。
おもむろに僕は闇の中にうかぶ一際大きな輪郭に向かって声をかけた。
「まっちゃんは彼女とかいるんだっけ?」
大きな輪郭がこちらを向いていることだけはわかるが、暗闇のせいか輪郭がぼやけて実際の顔の大きさがわからない。
大きいことは直感で理解していたのだ。
「相談というわけではないんだけど、みんなに聞いてもらいたいことがあるんだ」
大きな輪郭から何やら神妙な声が響いている。
泉が「その話をするのかい?僕は無闇に話すことではないと思うよ」と深刻そうな声で話す。
隣にいた生越が話を聞きたそうにうずうずしていることだけがわかった。
僕は何だかお腹が空いなと思っていた。
「今、彼女とは遠距離恋愛をしていて、彼女は宇都宮に住んでるんだ」
自分の話をする時にすこし含み笑いをしながは話すのはまっちゃんの癖だ。
本人が昔いじめられてたこともあって、他人に自分の傷を見せる時に苦笑いするのが癖になってしまったのだろう。
本人は気づいていないのがかわいそうで、僕は少しうつむいた。
それで?と生越が続きを催促する。
「軽音サークルに入ったのだけど、すごくかっこいい先輩がいるみたいで遊びによく誘われてるみたい」
よくある話だな。と思った。
コミュニティの場が少ない大学生となって数年過ごしてきて彼女ができないのであれば
次の新顔を狙うしかない。大学とはそういうものなのだ。
「それで、こないだ家まで来たみたいなんだけど、、、そこで、、、その先輩と寝たんだって、、、」
3秒間の沈黙があった。
僕はこの沈黙の間に何を考えただろう。
それは3秒後には思い出せなくなっていた。少なくともまっちゃんにかける言葉は考えていなかった。
3秒後、僕達は生まれた時の赤ん坊のような声で笑った。
笑いながら見たまっちゃんの顔は
とてもとても大きくて、暗闇に浮かんでたより大きな輪郭だった。
またその顔の形をみて僕は
チキンマックナゲットが食べたいなと思うのだった。
原題はスプートニクの恋人
村上春樹の作品の中では割りかし読みやすい方だと思います。
このコラム、村上春樹わかんないとつまんないから村上春樹読んでね。
他の作家さんでもやってみたいな。
森見登美彦とか。
僕がその時その部屋でその時に目が覚めたのは本当に偶然で、まだそれほど仲良くなったわけではない友人達と一晩を共にすることに疲れていたのだろうと、朦朧とした頭の中で考えた。
そもそも大学生とは無闇に夜という時間を共有したがる。しかし、この持論を持ち出せばきっと夜は明けてしまうから今はやめておこう。
僕が目を覚めた時には、電気は消えていてただひっそりと話し声が聞こえるくらいだった。
話をしているのは生越で、彼はだいたいいつも喋っている。あいた口がふさがらないのだ。これは比喩や揶揄ではなく、彼は本当にふさがらないのだ。顎関節症を患っている
しかしながら、学生ホールの中でもテスト前には彼のうめき声は判断できるようになった。
「それで、泉は最後に女の子と寝たのはいつ?」
ぶしつけな質問だが、いかにも大学生のような質問である
「そんなこと覚えていて意味はあるかい?そもそもそれを聞いて君はどーするんだ?明日のおかずにするのかい?」
「悪趣味だな」
僕はポツリという。
間違いないねと笑いながら生越は手を叩いいた。
おもむろに僕は闇の中にうかぶ一際大きな輪郭に向かって声をかけた。
「まっちゃんは彼女とかいるんだっけ?」
大きな輪郭がこちらを向いていることだけはわかるが、暗闇のせいか輪郭がぼやけて実際の顔の大きさがわからない。
大きいことは直感で理解していたのだ。
「相談というわけではないんだけど、みんなに聞いてもらいたいことがあるんだ」
大きな輪郭から何やら神妙な声が響いている。
泉が「その話をするのかい?僕は無闇に話すことではないと思うよ」と深刻そうな声で話す。
隣にいた生越が話を聞きたそうにうずうずしていることだけがわかった。
僕は何だかお腹が空いなと思っていた。
「今、彼女とは遠距離恋愛をしていて、彼女は宇都宮に住んでるんだ」
自分の話をする時にすこし含み笑いをしながは話すのはまっちゃんの癖だ。
本人が昔いじめられてたこともあって、他人に自分の傷を見せる時に苦笑いするのが癖になってしまったのだろう。
本人は気づいていないのがかわいそうで、僕は少しうつむいた。
それで?と生越が続きを催促する。
「軽音サークルに入ったのだけど、すごくかっこいい先輩がいるみたいで遊びによく誘われてるみたい」
よくある話だな。と思った。
コミュニティの場が少ない大学生となって数年過ごしてきて彼女ができないのであれば
次の新顔を狙うしかない。大学とはそういうものなのだ。
「それで、こないだ家まで来たみたいなんだけど、、、そこで、、、その先輩と寝たんだって、、、」
3秒間の沈黙があった。
僕はこの沈黙の間に何を考えただろう。
それは3秒後には思い出せなくなっていた。少なくともまっちゃんにかける言葉は考えていなかった。
3秒後、僕達は生まれた時の赤ん坊のような声で笑った。
笑いながら見たまっちゃんの顔は
とてもとても大きくて、暗闇に浮かんでたより大きな輪郭だった。
またその顔の形をみて僕は
チキンマックナゲットが食べたいなと思うのだった。
たきおじ
2015/02/12(木)
23:03